用語集
「は行」の接着用語集
「は行」一覧表
用語集
あ行・か行・さ行・た行・な行・は行・ま行・や行・ら行・わ行「は」から始まる接着用語
バイト|bite
多孔質材料または粗面な材料をアンカー効果により接着すること。すなわち液状接着剤が被着体の表面層に浸透して硬(固)化し、接着力を発現することをいう。なお被着体の表面処理によって接着効果を高める場合にもこの語が用いられることがある。
関連用語:アンカー効果、プライマー
バインダー|binder
粒状や粉末状、あるいは繊維状の有機あるいは無機化合物を結合させて、それらの機能を十分に生かした複合材料を作製するために用いられる結合媒体。通常は接着剤と同様に高分子化合物が使用される。磁気記録テープの磁性体の結合、レジノイド砥石の砥粒の結合、焼成前のセラミックス粒子の結合、不織布の繊維の結合などがある。これらの例にみられるように、バインダーは接着剤の機能を果たしているが、接着剤ではなくバインダーと呼ばれるのは、それらの工業の歴史が影響しているのであろう。また接着分野では、接着剤を構成する主成分のことを指すこともある。
背面処理|backing; back coating
粘着テープの支持体の背面に、たとえば非粘着性の材料を塗布することにより、粘着テープの巻き戻し時に粘着剤の移行がないように行われる処理のこと。はぎ接着|edge gluing
板を横に幅広く並べて、端面と端面をホットメルト接着剤などを用いて接合すること。=端面接着、横はぎ
関連用語:ベニヤエッジグルアー
剥離剤|release agent; release coat
粘着テープの巻き戻しを容易にするために基材背面に塗工する材料。剥離剤は粘着剤に対して剥がれ易くなければならないが、一方で粘着テープの基材や両面粘着テープの剥離ライナーに対しては接着しなければならず、相反する性質が要求されている。一般的に低エネルギー表面を有するシリコーンや長鎖アルキル基含有ポリマー、ポリオレフィンなどが、また特殊な場合にはアルキド樹脂やフッ素樹脂などが使用されている。シリコーンはもっとも代表的な剥離剤である。粘着剤への移行を防ぐため架橋されるが、縮合反応タイプと付加反応タイプがある。
=はく離剤
剥離接着強さ|peel strength
接着面の一端に剥離応力を加え、接着接合部が破壊したときの強さ。試験法の違いにより、90度剥離、T形剥離、180度剥離などがある。試験方法はJIS K6854などに規定されている。
=はく離接着強さ、剥離強度
橋かけ|crosslinking
=架橋橋かけ密度|crosslinking density
橋かけ構造をもつ高分子において、橋かけ点(crosskinked point)の数の全体の構造単位の数に対する割合。鎖状高分子を放射線や種々の試剤で橋かけした場合には、橋かけ指数(crosslinking index)という言葉も用いられる。この場合は橋かけ前の高分子1分子当りの橋かけ点の数で示す。橋かけ密度を求めるには種々の方法があるが、ゴム弾性理論もしくは膨潤法などが一般的である。
=架橋密度
関連用語:膨潤
白化|blushing
はみ出した接着剤の表面が白く曇る現象。シアノアクリレート系接着剤などで観察される。
バッグ接着|bag bonding
金型の雌型または雄型のいずれかの一方のみを使用して、その型の表面に積層材料をレイアップした後、さらにその表面を軟質のゴムあるいはプラスチック製の袋で覆い、この袋に流動圧(主として空気圧を加えるか、あるいは空気を抜く方法)を加えることで型に積層材料を密着させて接着する方法。加圧には圧縮空気の代わりに蒸気圧、または液圧を加えることもある。また、型の上に積層材料を置き、全体を袋に入れてオートクレーブ中で加圧する場合は、オートクレーブ接着と呼ばれる。
関連用語:オートクレーブ接着
発泡接着剤|foamed glue; cellular adhesive; foaming adhesive
合成樹脂接着剤において、接着剤塗布量の節約、塗布性の改良などのために、界面活性剤などで起泡した接着剤。これを用いて行う接着のことを発泡接着(foam gluing)と呼ぶ。例えば発泡ユリア樹脂接着剤が過去に合板接着に使用された。しかし、硬化接着層に気泡が存在すると、弱接着層を形成するため、硬化の際には消泡(antifoam)する必要があり、技術的にそのコントロールが難しいので現在ではほとんど用いられていない。
=発泡型接着剤
パーティクルボード|particle board
切削・粉砕された木材の小片に接着剤を加えて混合し、熱圧縮成形した木質板材。=チップボード
ハードボード|hardboard; high-density fiberboard
木材などの植物繊維をほぐし、高圧高温でプレス成型した高密度な硬質繊維板。ユリヤ樹脂やフェノール樹脂などを接着剤として使用する中密度繊維板(MDF)と異なり、ほとんど接着剤を必要としない。
=高密度繊維板、HDF
ハニカム構造|honeycomb structure
蜂の巣(ハニカム;honeycomb)状の芯材、すなわちハニカムコアを高強度で薄い上下板と重ねて積層、接着したサンドイッチ構造のこと。芯材としてはフェノール樹脂を含浸した紙芯がもっとも一般的であるが、薄いアルミニウム合金やステンレススチール板を用いたものもある。上下板はジュラルミン、アルミニウムなどの金属板、強化プラスチックまたはプラスチック板などが一般的であるが、合板などを用いることもある。軽量で強度と剛性をもつ材料として航空機、輸送機器のほか建築用などに用いられる。
関連用語:サンドイッチ構造
ハネムーン接着|honeymoon adhesion
2液の接着剤同士が接触することで反応を開始し、硬化する接着剤を用いて、片面に1液を、もう片面に別の1液を塗布し、はり合わせることで接着する手法のこと。ハネムーン接着に使用される接着剤をハネムーン型接着剤(honeymoon adhesive)あるいは接触反応型接着剤と呼ぶ。例えば酸化剤と還元剤がA剤とB剤にそれぞれ別に含まれており、接触によってラジカル重合が開始される第2世代アクリル系接着剤などがハネムーン接着に使用される。木材接着で多く使われる手法である。圧締時に多少の混合は起こるものの、十分な混合とはならないため、連鎖反応によって重合が起こる場合においても、接着厚さや接着面積などの条件によっては未硬化部が残ることがあるので注意が必要である。
パラフィンワックス|paraffin wax
原油の蒸留によって得られた潤滑油留分の脱ろうにより得られる低分子量の脂肪族炭化水素のこと。パラフィン基原油に多く含まれる。ろうそく以外にも、その防水性、防湿性、電気絶縁性などを利用し、パラフィン紙製造用、電気絶縁用などに用いられ、ホットメルト接着剤にも使用される。
関連用語:ホットメルト接着剤
バリデート接着剤|validated adhesive
有効期間中に、十分に保証された性能を維持している接着剤のこと。反応性接着剤|reactive adhesive
化学反応によって硬化する接着剤のこと。例えばシアノアクリレートは瞬間接着剤として知られている。また、メタクリレートモノマーに同種のポリマーを溶かした溶液と有機過酸化物触媒とからなる非混合タイプの二成分系接着剤がある。活性剤溶液を一方の被着体に塗布し、モノマー溶液を他方に塗布し、はり合わせると活性剤の作用によりポリマーラジカルを生成し、グラフト重合して強い接着力を生じる。エポキシ系接着剤も反応形接着剤といえる。
=反応型接着剤
「ひ」から始まる接着用語
光硬化型接着剤|Light-curing adhesive
光重合開始剤が添加されており、塗布後に光を当てることで短時間に硬化する接着剤。利用する電磁波の領域によって紫外線硬化型と可視光硬化型の2種類に大別される。また、アクリル樹脂やポリエン・ポリチオール樹脂などを主要成分とするラジカル重合系とエポキシ樹脂、ビニルエーテル、オキセタンなどを主要成分とするカチオン重合系がある。光重合開始剤の種類により硬化する波長域は可視光から紫外線まで幅広く選択できるが、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂は紫外線領域の電磁波を吸収するため、使用できる波長域は被着体にも依存する。硬化物物性も様々であり、用途に応じて様々な樹脂がバインダーとして用いられる。短時間硬化による生産性の向上や無溶媒化、低温硬化などの長所がある。
=光硬化系接着剤
関連用語:紫外線硬化型接着剤、ラドキュア樹脂
非支持接着フィルム|unsupported adhesive film
接着剤層にガラス繊維や有機繊維などの支持体を含まない、接着剤層のみから成るフィルム状接着剤。たとえば積層ガラス(安全ガラス)に用いるポリビニルブチラールフィルムがある。
=非支持接着剤フィルム
関連用語:フィルム接着剤
B状態|B stage
熱硬化性樹脂の反応の中間の段階の状態。反応がA状態より進み、加熱によって軟化するが溶融せず、溶剤に膨潤するが溶解しない状態をいう。フェノール樹脂におけるレジトールの状態である。
=Bステージ
関連用語:A状態、C状態
ビスコース接着剤|viscose glue
レーヨン素材の一種で自然素材の合成繊維であるビスコースそのものを接着剤として用いるもの。安価であるが耐水性が低い。特にアルカリ性が強く、それに基づく汚染が被着体(合板など)の表面に出やすいため、現在ではほとんど用いられていない。
比接着|specific adhesion
=固有接着被着材破壊|adherend failure
=材料破壊被着体|adherend
接着剤で接合しようとする、あるいは接合された材料。被着体を基材という場合もあるが、基材は塗装における被塗装物やテープの支持体を指す場合が多く、より広い意味を持つ。接着剤が同じでも被着体の種類、表面処理、形状(厚み、幅など)が変われば接着強さが変わるのでJISに基づく接着強さの試験方法でも、被着体の種類、表面処理、形状などを細かく規定している。
=被着材
関連用語:基材
引張接着強さ|tensile strength; tensile bond strength
接着接合した突合せ接合試験片の接着面に対し、垂直方向に引張荷重を加え、接着部で破壊した場合の最大荷重を接着面積で除した値。試験方法はJIS K6849などに規定されている。
引張せん断接着強さ|tensile shear bond strength; tensile lap-shear strength
引張荷重によって接着面にせん断応力を加え、接着接合部で破壊した場合の最大荷重を接着面積で除した値。単純重ね合わせ継手を用いるのが一般的で、試験方法はJIS K6850; K6851などに規定されている。
=引張せん断強さ
関連用語:せん断接着強さ
ヒートシール|heat seal
加熱源を重ね合わせたフィルムの外側に押し当ててフィルムを溶着すること。包装用のポリエチレンフィルムなど熱可塑性プラスチックフィルムの接合によく用いられる。加熱源には主として電熱式熱板、こて、ローラーなどがある。これに用いる機会をヒートシラー(heat sealer)という。
=熱シール
関連用語:溶接、コールドシール
ビニル重合|vinyl polymerization
炭素ー炭素二重結合を有するモノマー(ビニルモノマー、ビニリデンモノマー、ビニレンモノマー)において、二重結合部分で重合すること。酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、また広義にはスチレンなどの重合をいい、工業的にはラジカル重合によるものが大部分で、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などが行われている。
非破壊検査|nondestructive testing; nondestructive test
試料を破壊せずにその材質、性態などを知る検査法。放射線を用いる場合はX線、γ線、中性子線などを試料に照射し、透過像の減衰の程度から試料の性質を推定する。金属では鉱物、圧延した板、もしくは溶接部の欠陥などの検知に早くから用いられた。さらにこの手法は複合材料や積層物などの高分子材料の分野でも一般的に用いられるようになった。超音波を用いる場合には、超音波パルスに対する傷などからの反射波を電気信号に変えて画像化し観察する。この装置は超音波探傷器と呼ばれ、その他に異常な部分を拡大、観察できる超音波顕微鏡などがある。また、強磁性体では試料に電流を流してその中の渦電流を利用する電磁誘導探傷法などがある。
=非破壊試験
ビヒクル|vehicle
塗料や印刷インクを構成する主要成分で韻科や充てん剤を分散させ、塗布後に塗膜を形成する成分のこと。通常、樹脂などの成膜成分と溶剤または分散媒体で構成されている。
=展色材(剤)
関連用語:バインダー
ひび割れ接着部破断|crazed joint failure
接着剤層に小さな亀裂が生じて接着部が壊れること。アミノ樹脂接着剤や動物性接着剤によく見られ、塗布量が過剰なとき、硬化温度、圧締力が非常に低いとき、また不均一な加圧を行ったときなどに生じる。
表面処理|surface preparation; surface treatment
金属やプラスチック、セラミックなどの材料表面の装飾、硬化、防食、着色、洗浄、機能化を目的とした処理、あるいは複合材料に用いられる粒子や繊維などの表面性状を改質させるための処理。特に接着では、被着体表面を接着に適した状態にするための化学的または物理的な処理をいう。化学的処理としては、酸・アルカリ処理、陽極酸化、メッキなどがあり、物理的処理としては、コロナ・グロー放電処理、真空蒸着法、大気圧プラズマ処理、ブラスト処理などがある。
ピールプライ|peel ply
積層物の接着あるいは積層物の上にさらに層を付け加えるときに、接着性を改善するためにはぎ取られる積層物の最上層のこと。通常は、はぎ取られることを前提に最上層が形成されている。はぎ取られた表面は凹凸に富み、アンカー効果により接着性が向上する。
疲労限度|fatigue limit
材料に外力を無限回数加えても破壊を起こさないと考えられる変動応力の最大値。プラスチック、接着剤その他の多くの材料では、通常1000万回以上の繰返し回数で破壊しない最大応力振幅で表される。疲労限度の値は材質のほか、試料の大きさ、形状、負荷の形式などによって影響される。
=疲労限界、疲れ限度、耐久限度
関連用語:疲れ接着強さ
「ふ」から始まる接着用語
Vカット法|V-cut process
板材に厚みの方向にV形の切込みを入れ、直角に曲げ、接着剤を付けて固定する方法。板材などによる箱作りの一つの手法で、一種のひき(挽)込み折曲げ加工である。コンクリート構造物などのクラックに沿ってV字形の溝を作り、その部分をシートするか樹脂を注入して補修する方法を指すこともある。
フィラー|filler
=充てん材フィルム接着剤|film adhesive; adhesive film
布、紙、ガラスクロスなどに接着剤を塗布、含浸、乾燥したフィルム状の接着剤。場合によっては基材を含まず接着剤だけのフィルムもある。使用する場合には、被着体の間に挟んで加熱圧着して接着する。薄い紙にフェノール樹脂初期縮合物を塗布あるいは含浸後乾燥した、加熱加圧形のテゴフィルム(tego film)、あるいはポリビニルブチラールの中間膜(安全ガラス用接着剤)などがある。
=フィルム状接着剤、接着剤フィルム
関連用語:支持体つき接着フィルム、非支持接着フィルム
フィレット|fillet
二つの被着体の接合部に存在する角または隅を埋める接着剤部分のこと。例えばT字の突合せ継手において、余分な接着剤が形成するはみ出し部がそれにあたる。接着剤のはみ出しは見栄えの観点では好ましくないが、フィレットの形成によって応力集中が回避され、強度が向上することもある。
フィンガージョイント|finger joint
被着体の端部(主に木材の木口)をジグザク形(フィンガー状)に溝加工し、接着する接合手法。指を組んだ形に似ていることから名付けられた木材を中心とする接合方法の一つである。接合には低温あるいは室温硬化の接着剤およびホットメルト接着剤などが用いられる。
フェノール樹脂|phenolic resin
フェノールとホルムアルデヒド(ホルマリン)の付加・縮合で得られる熱硬化性樹脂。100年を超える歴史を持つ。アルカリ触媒を用いると付加反応が先行し、フェノール骨格にメチロールが導入された低分子のレゾールが得られる。レゾールをそのまま接着剤として用いることもあるが、紙、布帛などに含浸した後に加熱、硬化させて積層品などに広く用いられる。酸触媒を用いて反応させると縮合が先行し、常温で固体のノボラックが得られる。これにヘキサメチレンテトラミンを加え、着色剤・充てん材などを加えた成形粉は、加熱加圧下で反応して網目構造を持つフェノール樹脂硬化物となる。この硬化物は多数の芳香核を持ち網目鎖濃度が高いことから、耐熱性に富み電気特性や化学抵抗性も良いが、硬くてもろい傾向があることから木粉や繊維質充填による補強が広く行われている。この他、ゴム質や他の樹脂とのポリブレンドによるもろさの改善も行われている。フェノール樹脂は、耐水性や耐候性を持つ木材接着剤としての用途のほか、他の樹脂またはゴム質を配合した構造用接着剤として高い性能を示す。例えばブチラール樹脂によるブチラールフェノリック、ニトリルゴムやネオプレンゴムによるニトリルフェノリック、ネオプレンフェノリックなどである。
不揮発分|solids content
ある一定条件下で加熱しても揮発または蒸発せず残存する物質の量。一般に蒸気圧の低い液体、または揮散温度の高い固体物質である。一定条件で揮発分を蒸発させ、恒量になったとき、もとの試料に対する残存物質の重量%で表す。試験方法はJIS K6828-1; K6833-1; K7235などに規定されている。
ブタジエンゴム|butadiene rubber
ブタジエンの単独重合によって得られるゴム。重合方法によって種別されるが、シス1、4結合が95%以上含まれる立体規則性ポリマー(ステレオゴム)が一般に使用されている。反発力弾性が高い、動的発熱が少ない、耐摩耗性に優れているなどの長所を有しているが、加工性はあまりよくない。通常は単独で使用するよりは天然ゴム(NR)やニトリルゴム(NBR)とブレンドして用いられる。接着剤のベースポリマーとしても使用されている。オリゴマーである液状ゴム(両末端にOH基などの官能基を有するものもある)はシーラントや接着剤の原料となっている。
ブチラールフェノリック接着剤|butyral phenolic adhesive
ポリビニルブチラールとレゾール形フェノール樹脂からなる接着剤。剥離強さが大きい特徴がある。1930年代から航空機用構造接着剤に利用されたが、次第にニトリルフェノリックやニトリルエポキシ接着剤などに置き換わった。
プライマー|primer; adhesion promoter
接着剤や塗料に対する接着性を上げるために、被着体にあらかじめ塗布する下塗り剤。接着剤や塗料と被着体の両方に親和性を有する物質が使用される。プライマーを用いた表面処理手法をプライマー処理という。
=接着促進剤
関連用語:表面処理、アンカーコート、サイジング、バイト
フラッシュパネル|flush panel
木質材料などの両面に合板などを接着した中空構造の軽量パネル。フラッシュ構造は、一般にはわくしん(枠芯; frame core)を組んで、この表裏に単板、合板を貼って、平らな板をつくる構造工作のことで、太鼓張りともいう。
フラン樹脂接着剤|furan resin adhesive
フルフリルアルコール単独、またはフルフリルアルコールとホルマリンの混合液を酸触媒を用いて比較的低温で加熱反応させて得られるフラン樹脂を主体とする熱硬化性樹脂接着剤。高温で加熱するか、または強酸を触媒として加えて常温に保つことで硬化する。耐酸・耐アルカリ性に優れているので、樹脂そのものはライニング材など耐食材料として用いられている。また接着剤としては耐酸タイルの接着や目地詰めなどの特殊用途に使われている。
プリキュア|precure
熱硬化性樹脂、またはそれを主成分とする接着剤などで、材料に含まれた水分や硬化反応の過程で発生する水分や揮発物によって加熱硬化時に気泡や空洞が生じることを防ぐために、揮発物の気化や水蒸気の発生を伴わない低い温度で予備硬化を行うこと。予備硬化を行った後には、所定の温度まで加熱して硬化を完了させる必要がある。
=プレキュア、予備硬化
関連用語:キュア
ブリード|bleed
=しみ出しプリプレグ|prepreg
ガラス繊維などの補強材料に熱硬化性樹脂の初期縮合物を含浸させた積層成形材料。所要の形状に切断して金型内に積み重ね、加圧、加熱して含浸樹脂の効果を完了させ、積層成形を行う。プリプレグの状態では粘着性はほぼなくなっているため、液状樹脂を用いる積層成形よりもはるかに高能率で成形が可能となる。含浸される樹脂は不飽和ポリエステルやエポキシ樹脂など、様々なものが用いられる。補強材にマットを用いた場合にはプリプレグマットと呼ばれる。
プリミックス|premix
熱硬化性樹脂のプレポリマーに短いガラス繊維などと補強材、充てん材、硬化触媒、着色剤などを加えて混錬してB状態樹脂としたもの。強化プラスチックの成形材料の一種である。不飽和ポリエステル樹脂とガラス短繊維を用いたものが最も一般的で、圧縮成形、トランスファー成形などが行われる。ガラス繊維を用いたものは衝撃強さが大きく、弾性率(剛性)も高く、寸法安定性、耐熱性、耐アーク性も兼ね備えた成形品を与える。
関連用語:B状態
ブルックフィールド粘度計|Brookfield viscometer
強力な同期電動機により液体中のローター(円筒または円板)を回転させ、円筒あるいは円板に働く液の粘性抵抗トルクをスプリングバランスにより計り、その液の粘度を測定する粘度計。ローターや回転速度を変えることによって非常に広い範囲の粘度を測定することができる。わが国ではB形粘度計として知られる。構造が簡単、小型で携帯も可能などの理由から広く用いられている。
=B形粘度計
関連用語:粘度
フルフラール樹脂接着剤|furfural resin adhesive
フルフラールとフェノールとの反応によって得られる熱硬化性樹脂をベースにした接着剤。ブルーミング|blooming
プラスチック表面に可塑剤や滑剤が粉末または様々な模様の形で吹き出してくる現象。ゴムの場合も配合材が内部に吹き出して結晶化することがあり、これもブルーミングと呼ばれる。
関連用語:しみ出し、可塑剤、チョーキング
プレポリマー|prepolymer
重合反応を適度な途中の段階で中断し、比較的低い重合度(分子量)で止めた重合体のこと。重合反応または架橋反応を完結させてしまうと成形が非常に困難になるような高分子などの成形材料として用いられる。例えば、ポリメタクリル酸メチルをモノマーから注型重合すると重合が完結する直前で激しく重合し、重合熱を発生し精密な成形ができないので、プレポリマーにして放熱してから注型し、そこにモノマー、重合触媒あるいは架橋剤を加えて成形と重合完結を同時に行う。ガラス繊維等の補強材にプレポリマー、硬化剤、充てん材、着色剤を混合したものをプリプレグという。
=プリポリマー
関連用語:プリプレグ
ブレンド|blending
混練を行う前に樹脂と可塑剤、安定剤や着色剤などの配合剤をあらかじめ混合すること。混練前にブレンドすることで混練時間を短縮することができる。通常は常温または加熱状態で行われ、それぞれコールドブレンド、ホットブレンドと呼ばれる。また粉末状態で行われる場合はドライブレンドともいわれる。ブレンドを行う装置をブレンダー(blender)という。
プロセスオイル|process oil
ゴムに可塑性を与えて、配合剤の分散をよくし、さらに圧延、押出しなどのゴム加工性を増すための石油系ゴム用軟化剤。パラフィン系、ナフテン系および芳香族系の3種に分けられる。
関連用語:改質剤、軟化剤
ブロッキング|blocking
ゴムやプラスチックのフィルムやシートを重ね合わせて置いておくと、密着して容易に剥がれなくなる現象。材料間で起こる意図しない付着現象であり、接着では特に、硬化した接着剤同士が接触することでくっつきが生じることを指し、好ましくない性質とされ、主に熱可塑性ブロッキングと吸湿性ブロッキングに大別される。前者は接触後の恒温下で生じるブロッキング、後者は恒湿下で生じるブロッキングを指す。接触した接着剤同士を十分な時間経過後に引きはがした際、表面に損傷がみられるものを接着性ブロッキング、損傷は認められないが十分な接着性が認められるものを凝集性ブロッキングと分類する。試験方法はJIS K6833-1などに規定されている。
関連用語:エンベノメーション、自着
ブロック共重合体|block copolymer
化学的に異なる2種類以上のモノマーからなる共重合体のうち、ある長さの単量体Aからなるホモポリマーと単量体Bからなるホモポリマーが共有結合で結ばれていて長い連鎖となった分子構造の共重合体。AのホモポリマーとBのホモポリマーの両者の性質を有し、さらに両者のホモポリマーの混合物とは異なった性質を示す。スチレン(A)とブタジエン(B)からなるABA形ブロック共重合体は熱可塑性ゴムとなる。
関連用語:共重合、重合体
ブロック硬化剤|blocked curing agent
硬化剤の官能基を特定の化合物と反応させて不活性なものとし、主剤と混合し、物理的(湿度)または化学的に一定条件のもとで、この官能基を解放させ、主剤と反応させるようにした硬化剤のこと。ウレタン樹脂などに使用されている。
分散|dispersion
ある物質の一つの相に他の物質の微小粒子が存在する状態。連続相(媒質)を分散媒といい、分散している物質を分散質(分散相)という。分散媒が液体で分散質が固体の場合を懸濁といい、両者とも液体の場合を乳濁という。
=分散系
関連用語:エマルション
分子間力|intermolecular force
分子の間に働く力。分子と分子が反発する斥力と引き合う引力があるが、一般には引き合う力をいう場合が多い。分子間力には(1)ファンデルワールス力と呼ばれる3種類の相互作用力(a)極性分子間の双極子ー双極子相互作用力(b)極性分子とそれによって分子内に誘起された誘起双極子の相互作用(c)電子雲の瞬間的な片寄りにより生じる双極子間の相互作用力(分散力)など、(2)水素原子が二つの電気陰性度の大きな原子間に介在して発現する水素結合力、(3)電子供与体と電子受容体との間に生じる電荷移動にともなう相互作用力などがある。接着においても、分子間力が大きな働きをしていると考えられている。
関連用語:固有接着
粉末接着剤|powdered glue
粉末状の接着剤。熱溶融形接着剤に多い。またユリア樹脂接着剤のように貯蔵寿命の短い接着剤は、噴霧乾燥させ粉末接着剤とすることで長期保存を可能とし、輸送にも便利である。
「へ」から始まる接着用語
ベニヤエッジグルアー|veneer edge gluer
側面に接着剤を塗布した単板を、繊維に直角方向に移動させながら側面を密着させてはぎ合せを行う機械。連続操作が可能で、しん(芯)板用単板を対象とする機種が多い。単板の送り機構は連続用式と間欠式がある。接着剤はユリア樹脂あるいはホットメルト接着剤が主として用いられる。
=エッジグルアー、単板横はぎ機
関連用語:はぎ接着
ベニヤグルー|veneer glue
合板、単板積層材などの木質材料の製造に用いられる接着剤。「ほ」から始まる接着用語
膨潤|swelling
固体状の物質が溶媒を吸収して膨らむ現象。高分子固体を良溶媒に浸漬すると次第に溶媒を吸収して膨らむ。橋かけを持たない高分子の場合、無限に溶媒を吸収し、最終的には溶液を生じる。これは無限膨潤と呼ばれるが、一般的には溶解としてよく知られた現象である。一方、三次元的に橋かけした高分子では、一定の大きさまで溶媒を吸収すると膨潤は停止する。これを有限膨潤という。狭義には膨潤はこの有限膨潤を意味することが多い。この場合、溶媒の浸入による化学ポテンシャルの低下と高分子鎖の伸長による化学ポテンシャルの増加が平衡になった点で膨潤は停止する。したがって膨潤度は橋かけ密度が低いほど大きくなり、しばしば橋かけ密度の決定に利用される。
関連用語:橋かけ密度
保持力|holding power; shear adhesion
タック、粘着力とともに粘着三要素の一つで、粘着テープまたは粘着シートを被着体にはり付け、長さ方向に一定の静荷重をかけたときに粘着剤がずれに耐える力。一般に、一定時間にずれる距離、または一定距離をずれるのに要する時間で表す。試験方法はJIS Z0237などに規定されている。
関連用語:タック、粘着力
ポストキュア|post cure
=後硬化ほぞ継ぎ|tenon joint
接合する部材の接着面にそれぞれ凸部と凹部を設け、その突起を利用して接着する接合法。枘(ほぞ)は木材とつなぎ合わせるときに一方の端に作る突起(凸部)を意味し、その対となる凹部をほぞ穴と呼ぶ。
関連用語:だぼ継ぎ
保存期限|strage life
=シェルフライフホットプレス|hot press
蒸気、温水または電熱などにより加温ができる構造を内蔵した加圧盤を有するプレス機。=熱圧プレス
ホットメルト接着剤|hot melt adhesive
加熱によって溶融し液状となった状態で被着体に塗布し、その後の放冷によって固化することで接着強度を発現する接着剤。冷却固化のため、短時間で接合でき、作業性を向上させることができる。加熱による溶融を可能とするために、主成分にはろうやこれに相溶性を持つ熱可塑性樹脂を用い、これに粘着性贈与剤などが加えられてたものが一般的である。そのため、強い構造強度は望めず、主として紙や布帛などの低強度、多孔質被着体などを対象として発展した。しかし近年では、加熱時に重合や橋かけ反応を伴うことで構造強度を持った接着剤も登場している。施工に際しては、専用のアプリケータを必要とする場合が多い。
=ホットメルト形接着剤
関連用語:オープンタイム、パラフィンワックス
ポットライフ|pot life
=可使時間ホモポリマー|homopolymer
単一モノマーの繰り返しからなる高分子。=単独重合体
関連用語:共重合体
ポリウレタン系接着剤|polyurethane adhesive
ポリウレタン樹脂(PU樹脂)を主成分とする接着剤。基本的な構成は、イソシアネート(NCO)成分、活性水素成分、およびその他の添加剤からなる。硬いものから柔らかいもの、硬化の速いものから遅いもの、極性の高いものから低いものまで、多様な性質を持つ接着剤を設計可能であり、無機質から有機質まで幅広い基材との接着性が良好であり、硬化様式も一液湿気硬化形、二液形、ホットメルト形など多様であり常温下でも硬化可能なことなどから、年々その用途を広げている。
=ウレタン系接着剤
関連用語:ウレタン樹脂
ポリマー|polymer
単量体あるいはそれ以上の単位物質の分子が重合し、多数が結合して生成した高分子化合物(=重合体)。本来の意味以外にも、重合以外の手法でつくられた鎖状高分子や鎖状の天然高分子全般を指す場合や、網目鎖をもつ高分子まで含めてポリマーと呼ぶこともあり、高分子全体をさす言葉として使われる例が増加している。
関連用語:重合体、高分子
ポリマーアロイ|polymer alloy
高分子を2種類以上含んだ多成分系。異種高分子が共有結合でつながれているか、いないかは問題とされないため、多成分系に含まれるものとして、異種高分子が混合されたポリマーブレンド、共有結合でつながったブロック共重合体およびグラフト共重合体、異種高分子の網目が相互に入り組んでいる相互浸入ポリマー網目(interpenetrating polymer network、 IPN)などが挙げられる。これらはいずれも、単一の高分子では実現が困難な性能を得ることを目的として設計されており、接着剤の分野でも応用されている。
ポリマーブレンド|polymer blend
2種類以上のポリマーの混合物。溶融状態で機械的に混合するか、あるいは溶液からキャストして作製する。一般的に異種ポリマーは互いに相溶しないので、混合物は多相構造をとる。しかし分子レベルで混じり合う相溶系、さらに相図をもつ半相溶と呼ばれる系も見いだされている。単一のポリマーでは限界のある性能の向上や新しい機能の発現を目的としており、接着剤の分野でも応用されている。
=ポリブレンド
ホルマールフェノリック接着剤|formal-phenolic adhesive
多くの被着体に良い接着性を示すポリビニルホルマールをフェノール樹脂に配合することで金属に対して優れた接着性能を発揮する構造接着剤。早くから航空機などの構造用に用いられてきた。