語集

「な行」の接着用語集

「な行」一覧表

内部応力 二液形接着剤 ぬれ ネオプレンフェノリック接着剤 のり引き
軟化剤 にかわ   熱可塑性樹脂接着剤 ノンザグ
軟化点 二次可塑剤   熱硬化性樹脂接着剤  
  ニトリルフェノリック接着剤   熱再活性化  
  乳化重合   熱処理  
  二量体   粘接着剤  
      粘着  
      粘着剤  
      粘着付与剤  
      粘着保持時間  
      粘着力  
      粘度  

用語集

あ行か行さ行た行な行は行ま行や行ら行わ行

 

「な」から始まる接着用語

内部応力|internal stress

物体の外部からの応力ではなく、内部からの収縮などによって蓄積されている応力。
鎖状高分子では成形後の配向、結晶化、冷却の不均一など、主として体積収縮による内部応力がみられる。橋かけをもつ高分子では、硬化(橋かけ)の進行に伴う収縮や、高温における反応後の冷却収縮によって内部応力を発生する。系がゴム状態からガラス状態になれば内部応力は大きくなり、き裂、変形などを起こす場合が少なくない。
 


軟化剤|softner; softening agent

プラスチック、ゴム、紙、皮、織布などを柔らかくするために用いる材料、あるいは粘着性を改善するために配合する材料。
例えば皮革にはワックス、織物には界面活性剤、ゴム・プラスチックには可塑剤、プロセスオイルなどが用いられる。
関連用語:可塑剤プロセスオイル
 
 

軟化点|softening point; softening temperature; delfection temperature; heat distorion temperature

高分子材料の温度が上昇し、急激に軟化を開始し、使用困難となる温度。
使用可能な温度の上限を見るために、古くから様々な試験法が用いられてきた、試験方法はJIS K7206; K7234などに規定されている。今日の物性からいえば、結晶性高分子では融点(Tm)、無定形高分子および橋かけ高分子ではガラス転移温度(Tg)が本質的にこの変化に相当する。すなわち結晶性高分子では結晶状態から粘性液体への変化、無定形高分子と橋かけ高分子ではガラス状態から粘性液体もしくはゴム状態への変化である。各試験法ではいずれも試料高分子の使用可能温度の上限を求めるため、それぞれ異なった試験条件を設定しており、多くは荷重下の変形温度を求めているため、上記のTmやTgよりも低い値を示すのが普通である。接着接合部の軟化温度は、接着試験片の一端を恒温槽内に吊り下げ、他端におもりを取り付け、徐々に昇温していき、接着剤の軟化によっておもりの負荷に耐えられなくなり、おもりが落下したときの温度を指す(JIS K6833-1)。
=軟化温度、たわみ温度、熱変形温度





 

「に」から始まる接着用語

二液形接着剤|two-part adhesive

接着剤の構成成分を二成分に分けておき、使用直前に混合して硬化させる接着剤。
主剤と硬化剤または架橋剤、酸化剤と還元剤などの組み合わせがある。例えばエポキシ樹脂、ポリウレタンあるいはアクリル系接着剤などに見られる。
関連用語:一液形接着剤
 
 

にかわ|glue

生物の結締組織、軟骨質、皮革などを水で煮沸抽出して得られるタンパク質系の物質。
動物から得られたものを動物にかわ、魚類から得られたものを魚にかわという。にかわを精製したものをゼラチンと呼ぶ。用途としては木工用接着剤、食用、写真乳剤、製紙関係に用いられる。なお、glueは接着剤という意に用いられることもある。
=グルー、膠着剤、接着剤
 
 

二次可塑剤|secondary plasticizer

可塑剤の中で樹脂との相溶性が非常に小さいために、単独では可塑剤として使用されないが、相溶性の良い可塑剤とともに併用されるもの。
例えばポリ塩化ビニル樹脂に対して、エポキシ化大豆油は二次可塑剤であるとともに安定剤としても働く。
関連用語:可塑剤
 
 

ニトリルフェノリック接着剤|nitrile-phenolic adhesive

広範囲の被着体に良い接着性を示すが、それ自身が固くて脆いために木材以外では構造強度を示さないフェノール樹脂の欠点をニトリルゴムの配合によって克服した接着剤。
せん断強さ、剥離強さがいずれも高く、早くから航空機などへの構造用接着剤として利用された。被着体もジュラルミンやアルミクラッドだけでなく、多数の金属やプラスチックなどに高い接着強度がみられる。
関連用語:構造用接着剤
 
 

乳化重合|emulsion polymerization

水中に疎水性モノマーと乳化剤(界面活性剤)を混合し、分散させた状態で重合開始剤を加えて行う重合。
高重合度のポリマーを得やすく、温度調整も容易なラジカル重合である。シード重合(多段重合)によるコアシェル粒子の形成なども行われている。
 
 

二量体|dimer

単量体(モノマー)を触媒によって2個反応させたもの。
二量体はその構造から鎖状二量体と環状二量体とに分類されるが、これは使用される触媒によって決定される。例えばエチレンはチーグラー触媒でブテン-1を与え、ブタジエンの場合には1,3ジビニルシクロブタンを与える。
関連用語:単量体三量体オリゴマー





 

「ぬ」から始まる接着用語

ぬれ|wetting

液体が固体表面と接触するとき、先に付着していた気体を押し退けて固体と液体との間に直接付着が起こる現象。
ぬれによって気/固界面が消失し、新たに固/液界面がつくられるために、この自由エネルギー変化をぬれの尺度とすることができる。ぬれは、その形態の違いにより、拡張ぬれ、浸漬ぬれ、付着ぬれに分類される。ぬれは、たとえば塗料中における顔料粒子の分散性や、基板上での異種材料の接着現象を理解する上で非常に重要である。ぬれやすさを表す性質をぬれ性(wettability)といい、主に接触角により評価される。
関連用語:接触角





 

「ね」から始まる接着用語

ネオプレンフェノリック接着剤|neopren-phenolics adhesive

広範囲の被着体に良い接着性を示すが、それ自身が固くて脆いために木材以外では構造強度を示さないフェノール樹脂の欠点をネオプレン(ポリクロロプレン)で是正した接着剤。
早くから構造用接着剤として利用された。引張せん断強さと剥離強さがいずれも高い特徴を持つ。
関連用語:構造用接着剤
 
 

熱可塑性樹脂接着剤|thermoplastic resin adhesive; thermoplastic adhesive

合成樹脂のうちでも、鎖状構造の高分子であり、ある温度以上で軟化、流動する性質をもつ熱可塑性樹脂を主成分とする接着剤。
樹脂分を溶液またはエマルションの形で液状化して塗布するものと、モノマー(単量体)に触媒などを添加し、重合して樹脂化するタイプに大別される。これらのうち溶液形のものは、溶剤が揮発しないかぎり接着強度は発現しないので、硬化に要する時間も長くなる。また、耐溶剤性を期待することはできない。エマルション形のものは、溶剤による臭気、毒性、可燃性などの懸念はないが、分散媒体である水の蒸発には相当の時間が必要である。したがって紙などの多孔性被着体以外では接着強度の発現は遅い。モノマー反応系としては、空気中または被着体などの水分によって重合が開始するシアノアクリレート系接着剤、いわゆる瞬間接着剤や空気の遮断によって重合が開始するエチレングリコールジメタクリレート形接着剤、いわゆる嫌気性接着剤がある。耐熱性は軟化点以下、結晶性高分子であれば融点(Tm)以下、無定形(非晶性)高分子であればガラス転移温度(Tg)以下となる。
=熱可塑性接着剤
 
 

熱硬化性樹脂接着剤|thermosetting resin adhesive; thermosetting adhesive

硬化反応によって網目(橋かけ)を形成し、強度、合成、耐熱性、耐溶剤性、耐候性、化学抵抗性など多くの特徴を持つ熱硬化性樹脂を主成分とする接着剤。
硬化後に三次元橋かけ網目が形成されるため、接着強度は高く、さまざまな高度の性能をもたらす。一般に熱硬化性樹脂のオリゴマー(プレポリマー)に、硬化剤、硬化触媒もしくは促進剤などを加えて硬化反応を行わせる。これらの成分を配合すると、室温でも時間の経過とともに硬化反応が進み、ポットライフを過ぎればゲル化して使用不能となる。常温硬化形と加熱硬化形とに大別されるが、いずれの場合にも硬化反応が十分に進み、網目形成が行われることでその性能ははっきされる。ユーザーは生産効率や設備費などの関係から、低温かつ短時間の硬化を要求するため、現状では、かなりの未反応官能基を残しつつ、一般的な使用条件では目立った欠陥が現れない程度に硬化した状態で使用されることが慣行となっている。しかし製品となった後に高温にさらされたり、製品に電流が流されたり、紫外線などの放射線にさらされる場合には、温度上昇や外部エネルギーによって硬化反応が進行し、未反応官能基が反応を開始する。その結果、系の収縮、き裂、変形、内部応力の発生などによる強度や性能の低下が起こることがある。したがって製品に高度の性能や信頼性が要求され、上記のような再硬化が進行する懸念のある場合には、官能基の反応率の測定やヒートサイクルテストなどによるチェックが必要である。
=熱硬化性接着剤
 
 

熱再活性化|heat reactivation

タックのない、乾燥した接着剤フィルムを加熱して、再び接着性を発現させること。
例えば、接着剤をいったん塗布した後乾燥することによって、被着体を積み重ねることができ運搬が容易になる、裁断などの加工が容易になる、接着時に溶剤の揮発がない、熱活性化によりコンタクト性が発現するなどの利点がある。
関連用語:再活性接着
 
 

熱処理|heat treatment

材料の性質を改善する目的で行う加熱処理と冷却の操作のこと。
金属材料では物性改善の手法として古くからこの処理が行われてきた。高分子では、プラスチック成型品の成形に伴う残留ひずみの除去のほか、形状、寸法の安定化などの目的で熱処理が行われている。接着剤の場合、冷却収縮による残留ひずみを低下させる目的で熱処理が行われる場合がある。
 
 

粘接着剤|hardnable pressure sensitive adhesive

それ自体粘着性をもち、まず被着体に先着して仮止めの役を果たし、後に橋かけなどの反応により高い接着性能を示すタイプの接着剤。
接着性のの出現には、室温硬化形と外部エネルギーを利用するタイプがある。前者には嫌気性接着(空気もしくは酸素遮断による硬化)と湿気硬化形接着(空気中の水分吸収による硬化)があり、後者には紫外線または電子線による硬化などの方法が利用される。
 
 

粘着|pressure sensitive adhesion

高粘度液体に一般的に見られる現象で、水、溶剤、熱などを使用することなしに、短時間かつわずかな加圧で実用に耐える接着力を発揮すること。
 
 

粘着剤|pressure sensitive adhesive

常温でタックを有し、水、溶剤、熱などで賦活することなしに、手で軽くはり合わせると直ちに実用に耐える接着力を発揮し、また、これを再びはがしとる場合は被着体を汚染することなく、容易にはがしうる粘弾性体。
天然ゴム、SBRなどの合成ゴム、SISなどのブロック共重合体を主成分とするゴム系粘着剤やアクリルモノマーと官能基含有モノマーとの共重合体を主成分とするアクリル系粘着剤などがある。通常の接着剤のような液体から固体への態の変化を必要とせず、はり合わせると直ちに実用に耐える接着力を発揮することから、施工時に被着体表面にぬれていく液体の性質(流動性)と使用中の剥離に抵抗する固体の性質(凝集力)という相反する二つの特性を合わせ持たなければならない。
=PSA、感圧接着剤、感圧形接着剤、感圧性接着剤
 
 

粘着付与剤|tackifier

接着剤/粘着剤の粘着性を改善したり、粘着保持時間を延長させるために配合する物質。
配合される接着剤/粘着剤とよく溶け合う、すなわち相溶性が大きいこと、粘着付与剤自体が強い粘着性を持っていること、配合後の粘着性の経時変化が小さいことなどが求められる。ロジン系樹脂、テルペン系樹脂などの天然樹脂系と石油樹脂、クマロン・インデン樹脂などの合成樹脂系がある。
=タッキファイヤー
関連用語:自着
 
 

粘着保持時間|tack range

特定の温度・湿度条件下で被着体に塗布された接着剤が乾燥状態で粘着性を保持している時間。
関連用語:指触乾燥
 
 

粘着力|adhesive strength; adhesion

タック、保持力とともに粘着三要素の一つで、被着体に対する粘着剤の密着性、剥離強さを表す指標。
粘着剤と被着体との接触によって生じる力のことである。粘着力を数値的に捉える試験として、引きはがし粘着力(180度剥離試験や90度剥離試験)などがある。試験方法はJIS Z0237などに規定されている。
関連用語:タック保持力
 
 

粘度|viscosity

流体の速度が流れの中の各点で異なるときに、流体内部にこの流れに逆らう方向に生じる抵抗の大きさ。
サラサラ、ドロドロのような粘り気を数値的に表す指標のことをいう。単位はSI単位でN・s/m^2=Pa・s(パスカル秒)、CGS単位でdyn・s/cm^2(ポアズ、ポイズ、poise)が用いられる。試験方法はJIS K7117-1; K7117-2などに規定されている。
=粘性率





 

「の」から始まる接着用語

のり引き|spreading

カレンダー作業において、練りゴムを直接布に塗布する乾式方法ではなく、練りゴムを溶剤に溶かしたゴムのりを布に塗装し、溶剤を蒸発、除去して、乾いたゴム層を布上あるいは布の内部に形成させる湿式方式のこと。
広い意味では、ラテックス状水性ゴム、接着剤および塗料などを紙、布地、木材、金属薄板などの材料の表面に塗布する作業もこれに含まれる。
=展延塗装
関連用語:カレンダー
 
 

ノンザグ|non-sag

シーリング材を垂直面のジョイントに充てんしたとき、垂れ下がり、すなわちスランプが生じないこと。
関連用語:スランプ



 

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