用語集
「あ行」の接着用語集
「あ行」一覧表
用語集
あ行・か行・さ行・た行・な行・は行・ま行・や行・ら行・わ行「あ」から始まる接着用語
アクリル樹脂|acrylic resin; acrylics
アクリル酸およびその誘導体を重合してできるポリアクリル酸系樹脂の総称。ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類および共重合体などがあり、塗料、接着剤、粘着剤などに利用されている。
アクリル樹脂系接着剤|acrylic adhesive
アクリル酸およびその誘導体である種々のアクリレートのモノマーとそのポリマーを利用した接着剤の総称。ポリマーを主成分とする接着剤にはエマルション形、溶剤形、ホットメルト形がある。モノマーを主成分とする接着剤は、接着する時点でモノマーが重合してポリマーとなり固化・接着するシステムを採用しており、重合の開始方法や重合物の形態によって分類される。例えば嫌気性接着剤や紫外線硬化型接着剤、第二世代アクリル系接着剤などがある。
=アクリル系接着剤
アセンブリータイム|assembly time
被着体に接着剤を塗布してから、これを重ね合わせて堆積し、圧締、加熱するまでの時間。開放堆積時間(open assembly time)と閉鎖堆積時間(closed assembly time)がある。前者は塗布から堆積までの時間を加味したもので、コンタクト(形)接着剤のように塗布~堆積までの時間が長い場合に主に用いられる。後者は堆積~圧締、加熱までの時間を加味したもので、ほとんどの接着剤ではこちらをアセンブリータイムとして用いることが多い。
=堆積時間
関連用語:堆積
圧縮せん断強さ|compressive shear strength; compressive shear bond strength
圧縮荷重によって接着面にせん断応力を加え、接着接合部が破壊したときの最大荷重を接着面積で除した値。試験方法はJIS K6852などに規定されている。
=圧縮せん断接着強さ、ブロックせん断接着力
関連用語:せん断接着強さ
圧締|pressing; pressure tightening
被着体に接着剤を塗布し、はり合わせた後に圧力を加えて固定する操作。後硬化|after cure; postcure; afterbake; after baking
熱硬化性樹脂などを主成分とする成形品または接着剤が、成形もしくは接着後の放置や加熱によってさらに硬化が進行すること。硬化度の不足する樹脂または接着剤を、再加熱して十分に硬化させる場合にも使われ、所要の強度や物性に到達させるなど特性改善を目的としたものを特にポストキュアと呼ぶこともある。
=ポストキュア、アフターキュア 、アフターベーキング
油変性樹脂|oil modified resin
可溶性の初期縮合物に、高級脂肪酸の多価アルコールエステル(油)を加えて、化学的に結合させて油溶性としたもの、およびその硬化物。例えばフェノール樹脂またはアルキド樹脂などの熱硬化性樹脂の初期縮合物を塗料に用いるとき、溶剤に対する溶解性を増し塗膜の性質を改善するために用いられる。
アブレーション|ablation
固体物質が大きなエネルギーを消費しながら表面から徐々に消失していく現象。原語は除去という意味であるが、融除と訳されることがある。表面温度と内部への熱の伝達をコントロールすることができることから、人工衛星やロケットなどが宇宙空間から地球の大気圏へ再突入するときに数千度に達する空気との摩擦熱から器材や人間を守るために表面にアブレーション材をはり付け、アブレーションによる吸熱により内部の昇温を防ぐことなどに応用されている。アブレーション機能をもつプラスチックをアブレーションプラスチック(ablation plastic)、アブレーション機能をもつ接着剤をアブレーション接着剤(ablaton adhesive)という。
=融除
網状ポリマー|network polymer
鎖状ポリマーを化学的、もしくは物理的に橋かけすることで網状構造を形成するものや熱硬化性樹脂のように三次元の網状構造をもつものなど、網目形成をしているポリマーのこと。例えば不飽和結合を持つものの橋かけまたは加硫、多官能性プリポリマーからの網目形成したものなどがある。橋かけ網目の粗い場合にはゴム弾性を示すが、網目が密になると結晶に近い弾性を示す。
=橋かけポリマー 、網状高分子
網目構造|network structure
鎖状高分子が化学的または物理的に橋かけされて三次元網目を作った状態。例えばゴムのイオウによる橋かけ、不飽和ポリエステルのスチレンによる橋かけなどがある。網状構造を形成したポリマーは溶剤に不溶となり、膨潤するのみとなる。逆にその膨潤の程度から網目鎖のあらさ(網目鎖濃度、橋かけ密度)を推定することもできる。
関連用語:架橋、膨潤
アミンアダクト|amine adduct
アミンとエポキシ樹脂で付加化合物を作り、これを硬化剤とする方法。エポキシ系接着剤の硬化剤としては常温硬化形として各種の低級アミンが使用されるが、これらの化合物は分子量が小さく揮発性があり、また毒性、吸湿性も強い。アミンアダクトは、これを防ぐための手法であり、分子量が大きくなるため配合が簡単になり、かつエポキシ樹脂との反応速度も遅くなるため、現場施工が楽になる利点がある。
関連用語:無害硬化剤
アルキド樹脂|alkyd resin
アルコールとアシド(酸)の合成による多価アルコールと多価カルボン酸の縮合体、すなわちポリエステル類の総称。普通はフタル酸とグリセリンを主原料とする熱硬化性のフタル酸樹脂(昔はグリセリンとフタル酸の合成語であるグルプタル樹脂と言った)を指す。塗料用合成樹脂として使用される。フタル酸とグリセリンからなる樹脂をストレートアルキド樹脂というが、通常は変性した樹脂が使われる。アルコールの官能基が多いのでモノカルボン酸による変性が可能で、脂肪酸で変性した油変性アルキド樹脂が多く使われている。その他、ロジン変性、フェノール変性、ウレタン変性樹脂などもある。
=フタル酸樹脂
アルファセルロース|alpha-cellulose
セルロースを17.5%のNaOH水溶液に浸し、常温で放置したとき溶解しない部分のこと。高重合度のセルロースであって、パルプはほとんどこの成分からなる。紙、化学繊維、セルロース系プラスチックなどの原料として、またメラミン樹脂やユリア樹脂などの充填剤として用いられる。
アルブミン接着剤|albumin glue; blood albumin glue; blood glue
動物の血液または血清を低温乾燥した可溶性の血粉から作られる接着剤。血液中のタンパク質アルブミンが主体である。アルブミンは弱酸性タンパクで、加水分解によりモノアミノ酸を生成する。水、希硫酸およびアルカリに溶け、水溶液を70℃に加熱すると凝固するため、常温で液状に製糊し、塗布後約100℃で加熱硬化させる。合板用接着剤として用いられ、耐水性はあるが、かび(黴)や菌類の栄養源となるため、耐黴・耐菌性が低い。なお、血粉はユリア樹脂接着剤などの増強・増量剤として用いることがある。
=血液接着剤、血液アルブミン接着剤
アンカー効果|anchor effect
被着体表面の微細なくぼみおよび空隙に接着剤、塗料やメッキ層の一部が浸透硬化(浸入固化)して、錨がひっかかるような形となり、釘またはくさびのような働きをすること。接着剤の接着強さ、塗膜の付着強さ、あるいはプラスチックへのメッキ層の密着強さを物理的に説明するために提唱されている機械的な接着機構である。繊維布、紙および木材などの多孔質材料の接着、塗装において、この効果が見られる。なお成形品に埋め込んだインサートは、成形材料の収縮によって強固に保持されるが、この保持効果を指す場合もある。
=いかり効果、錨効果、とうびょう効果、投錨効果、ファスナー効果
関連用語:バイト、機械的接着
アンカーコート|anchor coat
フィルムなどのラミネーション(積層)に際して、接着性、耐湿性、耐水性、耐候性などを向上させる目的で積層面にあらかじめ塗布する薄層のこと。アンカーコート用の薬剤をアンカーコート剤と呼ぶ。有機チタン化合物、イソシアナート化合物などが用いられる。
=下塗剤
関連用語:プライマー
アンダーキュア|undercure
熱硬化性樹脂、もしくはそれを主成分とする接着剤や塗料で、硬化の温度が低すぎたり、硬化時間が短すぎる場合に、硬化物の網目形成が十分でなく、相当量の未反応官能基が残留した硬化不十分の状態。熱硬化性樹脂や接着剤の硬化過程で、加熱の温度や時間の不均一、もしくは加熱炉内の温度分布が不均一の場合に起こりやすい。アンダーキュアの製品には未反応官能基が残留するが、この未反応官能基は製品が熱にさらされたり光や紫外線を浴びた場合などに再び反応を開始することで、系の収縮、き裂、変形、内部反応の発生などが生じ、様々なトラブルの原因となる。アンダーキュアの状態は外見からは検出しにくい場合が多いため、製品に高度な信頼性や強度が要求される用途では、ヒートサイクルテストなどによるチェックを行う必要がある。
関連用語:キュア
安定剤|stabilizer
高分子物質が熱、光、酸素、オゾンなどをはじめとする環境条件の影響を受けることで起こる機械的、化学的、電気的諸性質の低下(劣化)に対して抵抗力をつけるために加える添加剤。高分子の化学構造、劣化要因によっても多種多様に異なる劣化機構をとるため、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤など様々な種類がある。安定剤はその劣化機構に対して内容的に極めて多様な意味を有している。
関連用語:劣化、酸化防止剤、酸捕捉剤
「い」から始まる接着用語
一液形接着剤|one-part adhesive
二液形接着剤のように主剤と硬化剤、架橋剤と分けることなく、全体で一成分となっている接着剤。加熱、光、電子線、マイクロウェーブなど外部からの刺激によって硬化が開始する。混合の工程が不要のため、計量・混合ミスによる接着不良を防ぐことができる。
=一液性接着剤、一液型接着剤
関連用語:二液形接着剤
一次接着|primary gluing
合板や積層板をつくるように、単板あるいは積層材料を集成接着すること。ロイド規格(強化プラスチック漁船構造規則)では、普通の積層のことをいい、ウェット・オン・ウェットともいう。
「う」から始まる接着用語
ウェットブラスト|wet blasting
砂、ケイ石粒などの研磨材を加えた水を高圧で吹き付け、表面を清浄にすること。塗装、ライニングする場合の表面処理の方法の一つである。
関連用語:グリットブラスト、サンドブラスト、ショットブラスト、ライニング、表面処理
ウェビング|webbing; stringiness
被着体に接着剤を塗る場合にアプリケーターから接着剤が離れにくく、糸をひく状態のこと。接着剤を塗布した面を引きはがす場合や配合ラテックスから浸漬法によりゴム製品を作る場合、浸漬した型を引き上げるときにも同様な現象が見られる。
=えい糸性、糸ひき
関連用語:コブウェビング
ウェルドボンディング|weld bonding
金属板を接合する場合に、あらかじめ接着剤を塗布した金属をはり合わせた後、点溶接し、接着と溶接により強度を保持する接合方法。点溶接の応力集中を接着によって分散できるため疲労特性が向上する。また接着のみでは初期強度発現までに時間がかかり、しばしばクランプが必要であるが、その欠点が溶接との併用によりカバーされる。
関連用語:溶接
ウレタンゴム|urethane rubber
水酸基(-OH)とイソシアナート基(-NCO)との反応により生成するウレタン結合(-NHCOO-)を主鎖の繰り返し単位に有するゴム状物質の総称。ウレタンプレポリマーに適当な架橋剤を加えて成形する注型タイプ、直鎖状ポリウレタンを主成分とする熱成形可能な熱可塑タイプ、直鎖状ポリウレタンを通常のゴム加工と同じプロセスにより混合、成形、加工するミラブルタイプの3種がある。耐摩耗性に優れたゴムであり、ベルト、靴底、ロールなどに用いられる。熱可塑タイプは、溶剤に溶かして軟質塩ビ用接着剤として使用されている。
ウレタン樹脂|urethane resin; polyurethane
主鎖中にウレタン結合(-NHCOO-)をもつ合成高分子。一般に多価のイソシアナート化合物とポリエーテル、ポリエステル等のポリオールとの反応生成物をポリウレタンという。反応が複雑でウレタン結合以外に、尿素結合、酸アミド結合その他を含有することが多いが、そのような場合もポリウレタンと称している。最も普遍的な製法は、ジイソシアン酸エステルとグリコールとの重付加反応である。種々の化合物の組み合わせにより、発泡体、弾性体、繊維、塗料、接着剤として広く使用されている。
=ポリウレタン、PUR
「え」から始まる接着用語
永久ひずみ|permanent set
物体の外力による変形のうち、外力を取り去っても回復しないひずみ。物体に加えられた外力が小さく弾性変形のみの領域では永久ひずみは現れないが、外力が大きくなり降伏点を超えると物体は塑性変形し、この塑性変形によるひずみが永久ひずみとなる。永久ひずみは残留ひずみと呼ばれることもあるが、成形・加工や熱履歴によって材料内部あるいは異種材料界面に生じたひずみも残留ひずみと呼ばれるため、注意が必要である。後者のひずみは必ずしも永久ひずみではない。
=パーマネントセット
関連用語:残留ひずみ
A状態|A stage
熱硬化性樹脂の反応の初期段階の状態。反応が少しだけ進み、可溶、可融性の水あめ状態になった状態をいう。この状態の樹脂は、まだある種の溶剤に溶け、加熱すると溶融する。フェノール樹脂におけるレゾール状態である。
=Aステージ
関連用語:B状態、C状態
エージング|aging
材料の性質が置かれた環境により経時的に変化する現象。一般に、望ましい変化を与えることを養生(熟成)、劣化に対応するような好ましくない変化が生じる場合を老化と呼んでいる。
関連用語:養生、劣化、老化、熟成時間
エチレン酢酸ビニル共重合体|ethylene-vinylacetate copolymer
エチレンと酢酸ビニルを共重合した熱可塑性樹脂。その頭文字からEVAといわれることが多い。通常、酢酸ビニル含量10~40%のものが用いられている。エチレンの多いものは比較的硬く、少ないものはゴムに似た性質を示す。酢酸ビニル成分を加水分解し、あるいは、さらにこれを酢酸以外のカルボン酸でエステル化したものなどもある。
=エチレン酢ビ共重合体樹脂
エポキシ樹脂|epoxide resin; epoxy resin; epoxy plastic
分子内にエポキシ基を2個以上もつ分子量300~8000程度の比較的低分子量のプレポリマー、およびそのエポキシ基の開環反応によって生じた熱硬化性樹脂。最も広く使用されているのはビスフェノールA型の樹脂で、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから合成されるものが代表的なものである。また要求硬化物性によりビスフェノール骨格の代わりにフェノールノボラック、クレゾールノボラックの骨格を用い、多官能のエポキシ基を有するもの、ナフトール核を利用したり骨格中にN基、フッ素基などを入れた特殊のエポキシ樹脂などが開発されている。それ以外にも分子内にエポキシ基を持てばエポキシ樹脂であり、脂環骨格をもつ場合には脂環(形)エポキシ樹脂と呼ばれる。アミンもしくは酸無水物などの硬化剤と反応して三次元網目を形成する。硬化物はきわめて広い範囲の被着体に良い接着性を示し、電気的性質、機械的(力学的)性質、耐水性、耐薬品性、寸法安定性などに優れているため、接着剤、塗料、封止剤、積層物、強化プラスチック、複合材料など幅広い分野で用いられる。
エポキシ樹脂系接着剤|epoxy adhesive
エポキシ基(オキシラン環)を含む化合物であるエポキシ樹脂を主成分とする接着剤。エポキシ樹脂は製造原料の種類によってグリシジルエーテル形、グリシジルエステル形、グリシジルアミン形、脂環式形と分類され、脂環式形以外はいずれもエピクロロヒドリンによりエポキシ化されている。エポキシ樹脂の中で最も種類の多いのはグリシジルエーテル形であり、フェノールを原料にしたものとアルコールを原料にしたものがある。フェノール誘導体をベースにしたグリシジルエーテルは、エポキシ樹脂の主流である。最も代表的で使用量の多いものに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂がある。グリシジルエステル形エポキシ樹脂は、フタール酸誘導体などのカルボン酸とエピクロロヒドリンの縮合によって製造される。グリシジルアミン形エポキシ樹脂は、高耐熱、耐薬品性に優れた硬化物を得られる。脂環形エポキシ樹脂は過酢酸により直接エポキシ化され、電気絶縁用に用いられている。エポキシ樹脂は、単独で使用されることは少なく、硬化剤を用いて三次元架橋されることで優れた性能を示す。エポキシ樹脂は反応が活発なエポキシ基や水酸基を分子中に持ち、様々な化合物と反応する。硬化剤は大きく分けて、重付加形、触媒形、縮合形の3つに分けられ、重付加形は硬化剤がエポキシ基または水酸基と付加反応、触媒形はエポキシ基同士が重合反応、縮合方は水酸基同士の縮合反応によって三次元架橋が進行する。同じエポキシ樹脂でも、組み合わせる硬化剤の種類によって硬化物の特性が大きく変わるため、目的に応じた特性を得るための硬化剤選択も重要な配合技術の1つといえる。
=エポキシ系接着剤
エマルション|emulsion
一つの液体を、それと混合しない他の液体中に細粒状に分散させて生じた分散系。エマルションは長時間放置すると二液相に分離するため、安定なエマルションを得るために乳化剤が使用される。一般にエマルションは水と油から成り立っており、油滴が水中に分散したO/W形と、水滴が油中に分散したW/O形の2形がある。例えばO/W形の例として牛乳、マヨネーズ、W/O形の例としてマーガリンなどがある。なお乳化重合で合成される合成樹脂の固体微粒子の分散体を一般的には合成樹脂エマルションと呼ぶ。
=乳化、乳濁液、エマルジョン
関連用語:分散
エマルション形接着剤|emulsion adhesive
合成樹脂の微粒子が水に浮遊分散している形の接着剤。単量体を乳化剤や保護コロイドの存在下で水の中で乳化重合してつくるものが多いが、合成樹脂を溶剤または可塑剤に溶解させて、それを乳化するものなども一部用いられている。この接着剤の長所は、媒体が水であるために衛生上、火災の危険がなく、水で希釈、洗浄が可能であり、しかも乾燥後は耐水性の皮膜をつくることができることである。また高濃度、低粘度のものができ、糸をひかないためにローラー塗布、はけ塗り、スプレー塗布ができる。水が蒸発または被着体へ浸透することにより皮膜が形成されるので、最低造膜温度(MFT)以上で使用しなければならない。一般的にはMFTより10℃以上高い温度で使用したほうがよいといわれている。例えばウレタン系、酢酸ビニル樹脂系、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂系などがある。
=エマルション系接着剤
関連用語:最低造膜温度、ラテックス接着剤
エラストマー|elastomer
常温近傍で顕著な弾性を示す高分子物質。一般に弾性率が約1~10MPaのものが多く、外力により生じた変形は外力を取り除くと直ちにもとの形に回復する性質を持っている。例えば加硫ゴムと熱可塑性エラストマーがある。前者は、原料ゴムに加硫剤、加硫促進剤を加えて加硫した天然ゴム、合成ゴムなどであり、後者は凝集力の大きなハードセグメントとフレキシブルなソフトセグメントから成り、射出成形や押出成形ができる熱可塑性を有する合成ゴム物質である。スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステルエラストマーなどがその例で、接着剤、粘着剤のベースポリマーとしても使われている。
関連用語:加硫
エンキャプシュレーション|encapsulation
物品をプラスチックで包んで封入すること。はけ塗り、吹付け、浸漬、熱成形などによって物品を熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂で包むことをいう。この方法は電子部品(半導体素子、抵抗体、コンデンサー、チョーク、変圧器など)の保護および絶縁のために広く使用されている。
塩酸ゴム|hydrochlorinated rubber
天然ゴムの二重結合に塩酸を付加反応させて得られるゴムの誘導体。通常ゴムをクロロホルム、ベンゼン、四塩化炭素に溶解し、これに乾燥塩化水素を通じて付加反応させる。反応終了後溶剤の水蒸気蒸留により、あるいはアルコールまたはアセトンを加えて沈殿させて塩酸ゴムを得る。直接ラテックスに塩化水素を吹き込む方法もある。金属とゴムとの接着に用いられてきたが、プラスチックの発展により現在ではあまり使われていない。
エンベノメーション|envenomation
高分子材料が他の材料に接触もしくは接近して置かれることで表面の変色、軟化、ひび割れ、き裂などが生じる現象。関連用語:ブロッキング
「お」から始まる接着用語
応力緩和|stress relaxation
一定の長さに伸長または圧縮した状態に保持したとき、応力が連続的に徐々に低下する現象。高分子のような粘弾性体に一定量のひずみを与えると、このひずみを与えるのに必要な応力は時間の経過とともに減少する。一般に橋かけをもたない無定形高分子では十分に時間が経過するとこの応力はゼロに漸近するが、結晶や橋かけをもつ高分子では有限の値に近づく。応力緩和はクリープとならんで物体の粘弾性挙動を静的に評価するための重要な方法の一つである。
関連用語:クリープ
応力集中|stress concentration
材料に外力をかけたとき、その材料に不均質な部分や形状の不規則な部分が存在すると、その部分に他に比べて著しく大きな応力が生じる現象。応力腐食|stress corrosion
応力をかけることにより腐食が促進される現象。高分子材料や金属に外部応力もしくは残留応力などが働く場合、環境などによる腐食が促進される場合がある。このときに見られる割れを応力腐食割れ(stress corrosion cracking)という。
屋外暴露試験|outdoor exposure test
材料の屋外使用の適否を判定するための耐候性試験の一種。一般に南面45°の傾斜をもつ屋外の支持台に試験片をそのまま、または一定伸長条件で取り付け、日光、風雨にさらす試験をいう。試験方法はJIS K6860などに規定されている。
関連用語:耐候性試験
オートクレーブ接着|autoclave bonding
接着剤を塗布してはり合わせた後、蒸気により加熱加圧されたオートクレーブ中にて硬化、接着すること。蒸気による加圧のため接着面の圧力が均一になるとともに、加圧下で硬化が進行するため接着面の空気が排除されるメリットがある。
オーバーキュア|overcure; overcuring
熱硬化性樹脂、またはそれを主成分とする接着剤や塗料などで、硬化温度が高すぎたり硬化時間が長すぎた場合に形成された網目鎖が劣化により切断もしくは裂開し、強度や物性の低下が始まる状態。切断された分子鎖によるガラス転移温度(Tg)の低下、したがって耐熱性の低下のほか、強度、耐水性、化学抵抗性、耐候性など様々な物性が低下する。
関連用語:キュア
オーバーラップ|overlap
接着においては、被着体の端面または側面に他の被着体が重なって接着されていること。オーバーラップして作製した継手は、重ね継手あるいはラップジョイントと呼ばれる。
関連用語:重ね継手
オーバーレイ|overlay
化粧板や強化プラスチック製品の製造にあたって、表面の保護や平滑度を増すために表面層に紙やマットなどを貼り付けること。貼り付け時に使用される紙やマットをオーバーレイ紙またはオーバーレイマットという。これから転じて製品表面に熱可塑性樹脂を積層したり、表面に熱硬化性樹脂層を形成させる場合もオーバーレイという。後者では樹脂含浸紙や含浸マットが用いられる。
オープンタイム|open time
接着剤を塗布してからはり合わせるまでの時間。関連用語:コンタクト形接着剤、ホットメルト接着剤
オリゴマー|oligomer
単量体(モノマー)の繰り返しでできる高分子のうちで、単量体の繰り返し数n(重合度)が2から数百までのもの。一般に低分子量(10000以下)の高分子をいうが上限は必ずしも明確でない。最近では各種機能をもったオリゴマーが作られるようになった。例えばブタジエンからのシクロドデカトリエンや、テルペン用のイソプレンオリゴマーなどがある。またカチオン重合による石油樹脂、ポリブテン、ポリエチレンワックス、ロジンエステル、ポリエチレングリコールなど粘着剤、インキ、塗料などに用途が多い。
関連用語:単量体、二量体、三量体、マクロモノマー