第31期 会長あいさつ

日本接着学会  第23代会長就任にあたって

扇澤 敏明

東京工業大学物質理工学院材料系

23代日本接着学会 会長
 

 このたび、岸前会長を引き継ぎ、会長を拝命いたしました。日本接着学会という歴史ある学会の会長という重責を担うことになり、身の引き締まる思いです。杉崎副会長、宮田副会長、小林副会長、理事および事務局の皆様とともに、今後2年間、本学会の運営を務めさせていただきます。会員の皆様の声を真摯に受け止め、学会のさらなる発展のために励む所存です。

本年6 月の第62回年次大会中に開催されました創立60周年記念行事における3人の元会長からの講演では、60年の重みを感じるとともに、将来に向けての指針そして激励と期待を込めて若手への投資、維持会員の増加、グローバル化等に対して宿題をいただきました。次の10年、20年、さらなる未来に向けて学会の運営基盤を盤石にするとともに、科学と技術の両面における発展の手助けを学会として行っていきたいと思います。

 学会の主たる役割は、その分野に関連している、あるいはこれから関連しようとする人と人とが集う場を提供し、それらの人々を結びつける仕掛けを提供することにあると思います。それにより、定款にあります本学会の目的である「接着・粘着及び接着剤・粘着剤に関する科学の進歩と技術の向上、普及に寄与する」ことができると思っています。学会活動については、新型コロナ禍がほぼ終息し以前と同様に対面で行える状況になりましたのでそれを基本としますが、オンラインツールなど新たに手に入れた便利な方法も併用しながら参加しやすい環境を整えていければと思います。

本学会のさらなる発展を目指し、次の課題に取り組みたいと思います。


1. 若手研究者増加の推進

 接着技術の発展には、若手研究者の育成が不可欠であり、年次大会前の若手交流シンポジウムが定着してきていますので、その支援を継続・発展させていきます。しかし、我が国における産業構造の変化等に伴い、接着の科学技術の研究に携わる大学の研究室の数が減少している状況では、本学会の未来を担う若手の確保が困難となり、本学会の目的を達成することが危うくなります。接着の科学技術の研究を担う大学の研究者を増やす方策に知恵を絞りたいと思います。


2. 会員増強

 やはり学会の活気の源は会員数にあると思います。年次会の参加者数は最近ずっと増加傾向にありますが、正会員数は10年ほどほとんど変化していません。年次大会での参加者数を正会員数の増加に結び付けていきたいと思います。


3. 支部・研究会活動の支援

 本学会は支部や研究会の活動が活発な学会です。設立して年数が浅い東北・北海道支部や西部支部の活動をより支援して、会員数の増加につながればと思います。研究会については、昨年度次世代接着材料研究会が閉会しました。もっと弾力的に研究会の設立・閉会があっても良いと思います。そこから会員の掘り起こしを行って増加に結びつけられればと思います。 


4. 学会の広がり

 接着の科学技術は、多くの研究分野にまたがっていることから、それらの科学技術動向を取り入れていくことは重要です。ここ何期かで他学会とのコラボ行事が増えておりそれをさらに進めたいと思います。さらに、AI、IoT、ロボット技術などの進展に伴い、接着技術にも新たな革新が求められており、その波に乗り未来を切り拓いていく手伝いができればと思います。

また、グローバル化が進む中、国際交流はますます重要になっています。しかし、新型コロナ禍以降、海外の接着関係学会との交流が活発とは言えません。再構築するとともに、より広げていければと思います。
 

5.その他

 学会HPの刷新が進んでいることをご存じでしょうか。より見やすく、情報量も増えていますがまだ道半ばであり、現在の形での完成した形にまで持っていきたいと思います。また、学会事務局のDX化にも取り組みます。

最後に、現在のような変化の激しい時代に、接着に関する情報や技術・研究等に関して高いレベルを維持・発展させ続けていくために、学会としての役割を果たすべく理事会一同努めてまいります。会員の皆様一人一人が学会に積極的にかかわっていただくことが重要であり、今後とも一層のご支援とご協力をよろしくお願いいたします。

  

 

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